建設業界を取り巻くコスト構造の変化と「労務費見える化」への実務対策
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目次
建設業界を取り巻くコスト構造の変化
公共工事設計労務単価の続く高騰
建設業では近年、資材価格の上昇や人手不足などにより、工事コストの管理がこれまで以上に重要になっています。特に公共工事では、国土交通省が公表する「公共工事設計労務単価」の改定が、積算業務に影響を与えています。
令和8年(2026年)3月から適用される公共工事設計労務単価は、全国全職種の加重平均値で25,834円となり、全国全職種単純平均で前年度比4.5%の引き上げとなりました。必要な法廷福利費相当額を加算するなどの措置を行った平成25年度の改定以降、14年連続の引き上げとなっています。
公共工事設計労務単価の推移は以下の通りです。
出典:「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(国土交通省)
公共工事設計労務単価は、建設業の各職種ごとに設定されています。職種によって単価は異なり、技能や作業内容によって差があります。
令和8年3月から適用される主な職種の公共工事設計労務単価の例は以下の通りです。
| 職種 | 全国平均値(円) | 前年度比 |
|---|---|---|
| 型枠工 | 31,671 | +5.0% |
| 鉄筋工 | 31,267 | +4.6% |
| とび工 | 30,780 | +4.0% |
| 普通作業員 | 23,605 | +3.0% |
| 軽作業員 | 18,605 | +2.9% |
出典:「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(国土交通省)を加工して作成
人件費の上昇は工事全体のコスト増加を招いており、企業にはコスト構造を“見える化”し、適正な価格転嫁を行うための精度の高い積算が求められています。
なお、この労務単価には時間外・休日・深夜労働の割増賃金が含まれていないほか、法定福利費(事業主負担分)や研修・訓練などの必要経費も含まれていません。国土交通省は、これらの必要経費を下請代金に適切に計上しない、または下請代金から値引く行為を「不当行為」として強く注意喚起しています。そのため積算においては、こうした経費を現場管理費等に確実に見込むことが重要です。
国土交通省が進める「労務費の見える化」とその実務的要請
また、積算基準の見直しにより、労務費の扱いについても整理が進められています。
令和8年1月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事では、建築積算に関する基準が見直されました。国土交通省は、材料費と労務費を分けて把握する「労務費等の見える化」を進めています。特に鉄筋工事や型枠工事では、従来のような「材工一式(合成単価)」での算出を廃し、労務費と材料費の内訳を明確に把握できる「単位施工単価」が導入されます。公共建築工事の内訳書標準書式等には「労務費記載欄」が新設され、労務費の内訳を把握しやすくする仕組みが整備されています。
積算基準改定による実務への影響
| 項目 | 従来の実務的慣習 | 令和8年以降の新基準対応 |
|---|---|---|
| 単価構成 | 材工一式・合成単価(労務費の内訳が不明瞭) | 単位施工単価の導入(労務・材料を分離) |
| 主要対象工種 | 全工種一括の慣習的算出 | 鉄筋工・型枠工等を筆頭に分離を徹底 |
| 内訳書・見積書 | 労務費の総額のみ、または記載なし | 労務費記載欄の追加により内訳を透明化 |
出典:「公共建築工事積算基準類の改定」(国土交通省)を加工して当サイトにて作成
求められる積算業務の効率化
このような積算基準の見直しにより、建築積算業務では、
- 数量算出の正確性
- 内訳管理
- 作業効率
といった点への対応が重要になっています。
材料と労務を分離して詳細に把握するためには、積算業務の効率化や数量算出の精度向上が求められています。また、このような制度変更は公共工事だけでなく、民間工事の見積や積算業務にも影響する可能性があります。こうした積算基準の変更への対応方法として、建築積算システムを活用する企業もあります。
積算の正確性と効率を両立する建築積算システム「HELIOS」
「HELIOS(ヘリオス)」は、建築数量積算基準や国土交通省標準仕様書に基づいた計算ロジックを搭載した建築積算システムです。
工種別見積システムや明細データの各種ファイル形式入出力に対応しており、官庁営繕工事をはじめとした積算業務で利用されています。
HELIOSの主な機能
前述した積算業務の課題に対し、HELIOSは以下の機能で強力にサポートします。
- 数量算出の正確性(公的基準の標準搭載と精密な土工事計算)
HELIOSは、公的基準に基づく計算ロジックを標準搭載しており、「建築数量積算基準」や「国土交通省標準仕様書」に準拠した高精度な数量算出が可能です。さらに、根切・埋戻・残土などの土工事数量は、部材の断面サイズやレベル情報から自動で算出。複雑なn次掘削や山留条件にも対応できるため、人為的ミスの発生を大幅に抑制します。
- 内訳管理(差分自動集計と多様なフォーマット対応)
労務費等の見える化に伴う「材・労」の分離など、複雑化する内訳管理にも柔軟に対応します。
工種別見積システムを標準搭載しており、提出用、NET(原価)、業者見積など、最大5種類の数量・金額シミュレーションを素早く行うことができます。
設計変更があった際には、変更前後の数量差分を工種別に自動集計・出力できるため、VE(バリューエンジニアリング)などの数量確認に有効です。
また、RIBC形式、BCS形式、CSV、Excel明細など主要なデータ形式での入出力に幅広く対応しており、協力会社とのやり取りをスムーズにします。
- 作業効率(直感的な操作と図面からの自動計測)
構造積算では、CADの深い知識がなくても、リストをもとに「部材を置く」感覚で配置するだけで、リアルタイムに数量が計算されます。
手作業での拾い出しや計算の手間が省けるため、作業効率が飛躍的に向上します。
設計変更があった場合でも、部材を変更するだけで瞬時に数量や金額に反映されるため、手戻りに伴う作業負荷を抑えられます。
仕上積算においては、PDFやDXF等の図面データを読み込み、面積や長さを計測して個別データと自動連動させる「自動計測機能」を搭載しています。
図面の寸法を計測して縮尺を自動判断するため、複雑な形状でも正確かつ簡単な計測が可能です。
正確性と作業効率をさらに飛躍させる「HELIOS LINK」のBIM連携
さらに正確性と作業効率を高める機能として、BIMモデルと直接データ連携ができるアドオンソフト「HELIOS LINK」があります。
福井コンピュータアーキテクト社の「GLOOBE」等と「HELIOS」を連携させることで、BIMモデルの情報をそのまま積算データとして取り込むことが可能です。
これにより、これまで積算業務において多くの時間を要していた「部材の作成」や「部材の配置」にかかる作業手間が大幅に軽減 され、作業効率が飛躍的に向上します。 
IFC形式を介さない「TSVダイレクト連携」による効率化
一般的なBIM連携で用いられるIFC形式は、国際規約による制約からデータ変換ロスが発生しやすい課題がありました。
HELIOS LINKは、独自のローカルファイル(TSVファイル)によるダイレクト連携を採用することで、以下のように正確かつ効率的な連携を実現します。
- 変換時間の短縮と精度の飛躍的向上
変換回数を2段階から1段階へ削減し、積算に必要な最小限の情報に絞り込んで変換します。
情報の欠落を防ぎつつ、連携時間の大幅な短縮化とスムーズな業務連携につながります。 - 広範なオブジェクトマッピング
柱、梁、壁、床、独立基礎に加え、ベタ基礎、ブレース、カーテンウォール、スペース、開口など、構造・意匠の主要オブジェクトを網羅的に取り込みます。 - 詳細な仕上情報の抽出
各スペースが保有する「内部仕上計画」等のパラメータから、床、巾木、壁、天井、廻縁の5種類の仕上情報を、最大10層分まで自動で取り込むことが可能です。
設計変更が頻発する実務において、GLOOBE等のモデル修正がHELIOSの数量へ即座に反映されることで、手入力による人為的なミスを防止します。
結果として数量算出の手戻りを抑え、工期管理やコスト管理の精度と効率のさらなる向上につながります。
充実したサポート体制で導入後も安心
新しい積算システムの導入には不安がつきものですが、HELIOSは導入後のサポート体制も充実しています。電話やメールによるお問い合わせには、実務経験を積んだ積算資格者が直接対応します。また、オンライン・オフラインでの操作指導や、定期的なセミナー・体験会も開催されており、実務に定着するまでしっかりとバックアップを受けることができます。
持続可能な建設経営のためのデジタル積算基盤の確立
公共工事設計労務単価の改定や、材料費と労務費を分けて把握する「労務費の見える化」の推進により、建築積算業務の方法も変化しています。
特に公共工事では、積算基準に基づいた数量算出や内訳の明確化が求められるため、積算業務の正確性と効率性の両立が重要になります。
こうした背景から、建築数量積算基準に対応した積算システムや、BIMデータを活用した数量算出など、積算DXの取り組みも進められています。
HELIOSは建築数量積算基準に対応した建築積算システムであり、BIMソフト「GLOOBE」との連携機能(HELIOS LINK)を活用することで、BIMモデルを利用した数量算出にも対応できます。
HELIOSの機能やGLOOBEとのBIM連携については、資料にて詳しくご紹介していますので、積算業務の効率化やBIM活用をご検討の方はぜひご覧ください。特に、公共工事の積算精度を高めたい方や、設計変更対応の効率化、BIM活用を見据えた積算体制の整備をご検討の方におすすめです。