生成AIは普及フェーズへ 中小建設事業者が“今”導入を検討すべき理由



はじめに

近年、生成AI(Generative AI)は急速に普及し、業務効率化や生産性向上の切り札として多くの業界で活用が進んでいます。一方で、建設業、とくに中小規模の建設事業者においては「興味はあるが使いこなせていない」「自社業務にどう活かせばよいかわからない」といった声も多く聞かれます。

本記事では、生成AIの法人利用の現状と建設業における活用状況を整理したうえで、中小規模の建設事業者が直面しやすい課題、AIの活用方法をご紹介します。

生成AIの基礎知識

生成AIとは、文章・画像・音声・動画などのコンテンツを自動生成できるAI技術の総称です。
代表的なツールには、以下のようなものがあります。

  • ChatGPT
  • Microsoft Copilot
  • Google Gemini

これらのツールは、人間が指示文(プロンプト)を入力することで、その内容に応じた文章生成や要約、提案を行います。
従来のAIが「既存データの分析」や「判断支援」を主な役割としていたのに対し、生成AIはアウトプットそのものを生み出せる点が大きな特徴です。この違いが、事務作業や資料作成などの業務効率化に直結しています。

昨今の生成AI導入の推移

導入率と動向

企業における生成AIの導入は、ここ数年で急速に進んでいます。

総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、生成AIの活用方針を策定している企業の割合は、2024年度時点で約50%に達しています。これは、「積極的に活用する」「活用領域を限定して利用する」といった方針を定めた企業の割合であり、AI導入が経営レベルのテーマとして定着しつつあることを示しています。

2024年度 生成AIの活用方針策定状況(国別)

(出典)総務省「令和7年版 情報通信白書」

さらに、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施した「企業IT動向調査2025」では、言語系生成AIを「導入済み」「試験導入中」「導入準備中」と回答した企業が約41%に達し、前年度の約26.9%から大きく増加しています。日本企業において、生成AIの業務利用が本格化し始めていることがうかがえます。

AIの導入状況

(出典)日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2025(p.222)」

一方で、主要外国と比較すると、日本はまだ発展途上にあります。総務省の白書によれば、生成AIの活用方針策定状況は日本約50%であるのに対し、中国(92.8%)、米国(84.8%)、ドイツ(76.4%)などは高い水準となっています。

こうした状況を踏まえると、日本は「普及の途上」にあるものの、導入方針の策定や実際の利用は着実に進んでおり、生成AI活用が本格化しつつある段階にあると言えるでしょう。

イノベーター理論で見る、生成AIはいま「どの段階」にあるのか

新しい技術の普及は、「イノベーター理論」と呼ばれる考え方で整理することができます。
この理論では、新技術は次の段階を経て社会に浸透するとされています。

  • イノベーター 2.5%: 技術そのものに関心が高く、いち早く試す層
  • アーリーアダプター 13.5%: 実用性を評価し、先行導入する層
  • アーリーマジョリティ 34% :実績を見て導入する一般層
  • レイトマジョリティ 34% :周囲に合わせて導入
  • ラガード 16% :最後まで導入しない層

    一般的に、利用率が16%(イノベーター+アーリーアダプター)を超えると、技術は本格的な普及フェーズに入ると言われています。

    日本の生成AI導入状況をこの理論に当てはめると、すでにこの16%を大きく超え、アーリーマジョリティに入り始めている段階にあると考えられます。

    つまり生成AIは、もはや「ITに強い企業だけが使う先進技術」ではなく、一般企業の業務に組み込まれ始めている技術へと変わりつつあります

    中小企業における生成AIの利用

    中小企業の利用傾向

    生成AIの導入は、着実に進んでいるものの、大企業と比較すると、中小企業では次のような傾向が見られます。
    先述の「令和7年版 情報通信白書」の、生成AIの活用方針を規模別にみてみると、中小企業は「方針を明確に定めていない」との回答が多く、約半数を占めています。

    2024年度 生成AIの活用方針策定状況(企業規模別(日本))

    (出典)総務省「令和7年版 情報通信白書」

    また、中小企業が感じている課題として、以下のような点があげられます。

    • 社内に十分な知識・スキルを持つ人材がいない
    • 効果の測定方法が明確でない
    • 自社業務への適用範囲が判断しにくい

    つまり中小企業では、「生成AIを使えない」のではなく、
    「どう使えば効果が出るのかが見えにくい」ことが導入の壁となっているのが実情です。

    一方で、生成AIを導入した企業の多くが一定の効果を感じているとも回答しており、特に文書作成や情報整理といった間接業務では効果が出やすい傾向が見られます。これは、限られた人員で業務を回す中小企業にとって、生成AIが人手不足を補う現実的な手段になり得ることを示しています。

    生成AIと人間の役割分担

    生成AIは「定型・反復作業」を飛躍的に効率化します。一方で「創造的・意思決定的業務」は人間の役割が不可欠です。

    AIに任せる「事務・定型業務」 (建設業の場合)

    ■文書関連
    ・見積書・請求書のドラフト作成
    ・議事録の自動生成と要約
    ・提案書・顧客向け資料の骨子作成

    ■ コミュニケーション関連
    ・顧客対応用テンプレート返信文の生成
    ・社内FAQの自動応答システム

    ■ 管理・計画関連
    ・スケジュール候補の生成・平準化
    ・予算案・工数見積り用ドラフト

    こうした作業は時間短縮や人的ミス低減につながり、価値創出時間を大きく増やします。

    人間が担うべき「創造的・判断的業務」

    ・顧客との対面でのコミュニケーション
    ・施工計画の最終判断
    ・創造的な提案や設計構想
    ・現場での臨機応変な対応

    生成AIはあくまで人の判断を支える存在として位置づけることが重要です。

    まとめ:中小建設事業者こそ生成AIを生かす

    生成AIは生産性向上や業務負担の軽減に明確な価値をもたらします。重要なのは、人間とAIの役割を明確に分けることです。

    定型・反復作業 ⇒ AI
    創造・戦略 ⇒ 人間

    この考え方を徹底することで、中小建設事業者でも無理なく成果を出しやすくなります。
    まずはスモールスタートで効果を可視化することが、生成AI活用を成功させる第一歩と言えるでしょう。


    ↓FC Apps Directでご紹介している生成AIを用いたサービスはこちら↓




    一覧に戻る

    TOP